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2018/04/02

企業経営の目的・使命

 企業経営の目的・使命は、企業を成長発展させることや、企業の業績を高めること、さらにはライバル企業に勝利することと捉えている関係者が多い、しかしながら、こうした経営の見方・考え方は間違っている。

 こうした経営への見方・考え方には、「何のために企業を成長発展させなければならないか」とか「何のために企業の業績を高めなければならないか」といった、「そもそも論」が決定的に欠落してしまっているからである。

 企業の成長発展や業績向上、ライバル企業との勝ち負けなどは、企業経営の目的ではなく、経営目的を正しく果たすための手段であり、またその結果に過ぎないのである。手段であり、また結果である成長や業績、企業間の勝ち負けを目的化し、追求すれば、企業経営はどうなるのか。答えは簡単である。

 そうした経営は、社員や仕入れ先、協力企業など、かけがえのない経営資源を、コストや材料と評価してしまうばかりか、企業の成長を決定する、顧客を目的達成の対象や手段と考えるようになってしまうのである。・・・

 しからば、企業の真の目的・使命は何なのか。結論を先に言えば、それは「企業に関係するすべての人々の永遠の幸せの追求、実現」である。それは言うまでもなく私たちは、仲間とともに、幸せな人生を送ることが生きる目的であり、夢だからである。

(PHP研究所 坂本光司著 人を大切にする経営学講義 より引用)

 

 

 そんなの理想論だと言われるかもしれません。こんな例も書かれています。

 「Aが最も高額機械で、Bがその次、そしてCは最も低価格な商品です。会社の方針も、直属の上司の指示も、最も会社に利益をもたらすAという高額機械の販売です。しかしながら、お客様の工場を見せていただき、生産品目や職場環境、さらには働いている社員の年齢などを考えると、AよりはBのほうがよいのではと思うことが少なからずあります。それどころか、経営者や社員の高齢化が著しく、後継者がいないことを知ると、高額商品の提案は、その経営者の老後の生活を逆に苦しめてしまうことにもなりかねないので、価格の安いCの商品のほうがよいのではないかと思うことがときどきあります。それでも、Aのよさのみをていねいに説明し、Aを販売してきた。商談が成立した帰りの車や電車の中で、また今日も大切なお客様に、ウソをついてしまったと、胸を締め付けられるような悩みをある会社の社員から相談され、怒りさえ覚えた」という記述もありました。

 さてどうでしょう。「目の前にいるお客様にとって一番いいと思うことをトコトンする」、「取引先から最も喜ばれる仕事をする」方針が貫けられれば、社員の仕事に対するモチベーションも下がらず維持できたと思いませんか。うちの社員はやる気が無いと嘆くとしたら、その原因は会社にあるのかも知れません。やりがいのある会社を目指しませんか。

 所長による経営随想コラム 3004号

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