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2021/10/06
計画とは本来ムチャなもの
「計画」ということについて、・・・
○実現可能なものでなければならない、○現実的なものでなければならない、
○ムリがあってはならない、○納得のいくものでなくてはならない。
などということをいわれているが、これは全然間違いであって、こうした考え方では進歩はない。いったい、現実的だとか、ムリがないとかという根拠はなんだろうか。それは、”従来の実績”からみてそうであるということにすぎないのである。従来の実績からみて、ムリでないような実行可能なものならば、なにも計画とかなんとかいって、人騒がせなことをせず、放っておいても実現可能である。果してこれでよいのだろうか。
計画の根拠は、従来の実績ではなくて、”経営上の要請”が根拠なのである。お客のムリな要求、競争入札でどうしても落札したい、利益計画など、もろもろのものがあるが、すべては”生きるため”の至上命令であって、科学的な、あるいは常識的な根拠は何もないのである。
当然のこととして、計画とは机上論であり、ムリであり、不合理なものであり、納得のいかないものなのである。従来の常識からは考えられない、ムチャなものをムチャでないものに変革し、不合理なものを合理的なものに変質させるということこそ、われわれの仕事なのであって、この”変質させる”ということが仕事の本質であり、経営なのである。こうした革新のみが会社を存続させ、発展させる原動力なのだ。
(日経BP 一倉定著 あなたの会社は原価計算で損をする(復刻版)より引用)
この本は、1963年の復刻版です、外的環境の変化や社員の能力不足に責任をなすりつけ自分の頭で考えない経営者に対し、当時の経営に対する反逆の書であったようです。
現在、コロナ禍から徐々に「WITHコロナ」の環境に変わってきました。協力金や助成金を受けることに違和感なく習慣化しつつある中、これに頼らない経営とするため、1年先、5年先を見る計画が必要になってきました。しかし環境は今までの常識が通じなくなるよう激変してきて、当たり前の計画では生き残れない会社も出てきています。
計画は経営の要請が根拠、経営が生き残る至上命題である以上、生き残るための計画は、従来の延長線上で良いはずがない、そして社員から見たら無茶なものが本来正しい計画であるという構図になるのではないでしょうか。
こんな計画、できるはずがないと言葉に出してしまうと実際にできないものです。会社を成長させてきた多くの経営者は、無茶にも映る計画(目標)をまず決め、この実現のためにどうしたら良いのか悩み行動していく手順を取ってきたように思います。できない理由は100でも答えられますが、できる答えも幾つもあるものです。経営の可能性は広く、打つ手も無限であると信じて行動することがまさに今は大切です。
筆者の結論です、「この目標は、過去の実績や常識とは、本質的に無関係なのである」。
所長による経営随想コラム R0310号