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2022/09/07
責任の範囲
~「責任範囲の明確化」自体が、無責任社員をつくりだす。~
組織論者は、責任の範囲を明らかにしないから仕事がうまく行われないのだと思いこんでいる。これは全くの見当違いであって、責任の範囲を明確にすると「それ以外のことには責任がない」ととるのが人間というものなのだ。他の部門がいくら忙しくとも、他人の仕事がいくら忙しくとも、それは、「自分の責任の範囲外のことである」として、「われ関せず」ということになってしまうのである。
こうして人々は自分の部門のこと、自分の仕事だけしか考えなくなり、会社の業績をあげようという意識などなくなってしまう。ましてや「お客様にサービスをする」という企業本来の役割を果たすことなど考えてもみなくなってしまう。・・・会社の業績を落とし、人々の魂を腐らせてゆくという、大きな罪悪を犯すものが「責任範囲明確化論」なのである。
(日本経営合理化協会 一倉定の社長学第6巻「内部体勢の確立」より引用)
「聞いていませんでした」、「私が指示されたものではありません」、「私に言われましても」・・・お客様にとって、聞くだけで腹の立つ言葉になりますね。
この責任は誰々だと思い込んで仕事をしているうちは、また、この失敗は私に押しつけられるなと思って仕事をしているうちは、・・・働く側にとって、やりがいに繋がる仕事になるでしょうか。
私達は、人に信頼され喜ばれる仕事にやりがいを感じるはずです。その仕方は、自分の責任の隣の部分にまで関心を持って仕事ができる仕組みであると思ってます。あるいは、その仕事を依頼する側の立場でものを考えて仕事のできる仕組みであると思っています。
どうしたらそれができるか、最初の取り組みは簡単です、責任の範囲を明確にしすぎないことです。必要なものは責任制度でなく責任感が生まれる組織であると思っています。
環境や前提が激変していく今の時代にとって、経営者は、働く人の心理まで十分に考えた仕事の仕方を構築していくことがますます重要になっていると思います。
働きがいのある組織にしていこうではありませんか。
所長による経営随想コラム R0409号