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2021/12/08
社員育成の不十分さ
話を「働かないオジサン」に戻すと、そもそも彼らはしっかり育成されてきたのでしょうか。研修に出席させておけばいい、上司が説教をしていればいいという話ではありません。おそらく彼らは必要な育成を受けてこなかったのです。社員の育成には、上司と部下の評価が一致していること、その前提として「やるべきこと」が明確になっていることが必要ですが、それが整っていないのですから。
そのことは、モチベーションにも影響します。モチベーションは指導のあり方に大きく左右されるからです。稀にどんなに叱責を受けても、めげない社員がいます。経営者はそんな社員が大好きですが、私はそういった社員は、言葉は悪いかもしれませんが「変態社員」と定義しています(笑)。・・・・
入社時から全く意欲がなかった社員はいなかったはずです。社内の何が、社員のモチベーションを奪ってしまったのか。人事の仕組みのトレンドを追う前に、それぞれの会社が自社の問題としてそれを受け止め、解決しなければなりません。社員がモチベーションを落とさずどんどん成長し、業績を押し上げるために貢献していれば、評価と賃金の不一致は起こらなかったはずです。・・・・
賃金を決めたのは企業です。これを忘れてはいけません。解決策は、人件費を下げることではないのです。全く逆の視点です。賃金を払いすぎていると感じる社員がいるなら、その賃金に見合う働きができるように、成長させなければならないのです。・・・・
社員に成長してもらいたいと思えば思うほど、ついつい「間違っていること」「上手にできていない部分」を口にしてしまいがちです。それがダメだということではありません。その一方で「小さな成長を認める」ことをなおざりにしてしまっていることを思い出してほしいのです。そして、小さな成長を認められることで、人はその行動を続けられることを知ってもらいたいのです。
(松本順市著 1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション 日経BPより引用)
経営環境が、コロナ禍から別のステージに変わりつつあります。そんな中、新たな人財の採用は、中小企業には、ますます厳しくなってきます。であれば、現在の社員に、どうしたら大きく成長してもらえるかが最も重要な課題になってくるはずです。
キーワードは、社内における「社員の小さな成長を認める」仕組みです。これがあるのかどうか。多くの社員は、「小さな成長を認められることをうれしいと思う人」で構成されていて、社員育成のポイントはここにあると松本先生は結論されています。
人件費は今後ますます上昇します。そして人の価値観もコロナ後でさらに変化していきます。どうやって賃金を下げるかではなく、どうしたら賃金に見合う成長をさせられるかの仕組みを持つ組織って、働く社員にもうれしいことではないでしょうか。
社員を大切にすると口だけで言うのではなく、仕組み作りから真剣に取り組むことで、社員にもそしてお客様にも良い会社が実現するはずです。一緒に良い会社を作りましょう。
所長による経営随想コラム R0312号