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2024/12/04

リーダーとマネージャーの違い

 しかし、冒頭から説明している通り、JALに着任し、会議に出席し、現場を訪問する中で、JALには本当のリーダーと呼べる人間がいないことを痛感していた。それではいくら立派な再建計画を作っても、達成できるはずはない。また、上の立場の人間の意識が変わらないと、部下の意識が変わるはずもない。逆に、幹部の考え方が変われば、自ずと部下の考え方も変わる。だから、どうしてもリーダー教育を早急に始めなければならないと思っていた。・・・・
 最初は「絶対無理だ」と反対していた。それでも私は、彼らに私の考えをまとめて報告書を作ってほしいと頼んだ。しかし、返ってくる報告書のタイトルはマネジメント教育になっていた。「そうじゃない。私はリーダー教育のプログラムを作ろうと思っているのだ」と指摘しても、返ってきた報告書にはまたマネジメント教育と書かれていた。
 おそらく彼らは当初リーダーとマネージャーが同じものだと理解していたのだろう。これは無理もない。普通の大企業でも管理職になったらマネジメント教育を受ける。そしてコンプライアンスの重要性、人事評価の方法、目標数値の設定の仕方などを学ぶ。それが一般的だから、リーダー教育というとマネジメント教育のことだと考えてしまったのだ。・・・・
 そこで私はりーダーとマネージャーの違いを繰り返し説明した。
「部下を管理するマネジメントについては、あなたたちはよくわかっているし、優秀かもしれない。しかし今JALに必要なのは部下をまとめて同じ目標に向けて引っ張っていけるリーダーを育てることなんだ。優秀なマネージャーであれば、困難に遭遇すればその迂回策を考えるだろう。うまくいかなかったら、その言い訳を探して、責任逃れをするだろう。そんなマネージャーばかりだから倒産したんだ。再建を成功させるには、どんな困難にぶち当たってもあきらめずにやり遂げようとする、一つの目標に向かって部下を鼓舞してなんとかまとめていこうと考える、そんなリーダーが必要なんだ。これからはそのようなリーダーを育てなければいけない」
 そのような話をしてリーダー教育の必要性をどうにか理解してもらった。
               (JALの奇跡 太田嘉仁著 致知出版社 より引用)

 コロナ禍後の経営環境は未だ混沌としています。経営環境の激変により、今まで通りの経営の継続では太刀打ちできない会社も実際には出てきています。
 この本におけるリーダーに必要な教育とは、我が社における「経営哲学(フィロソフィーと表現)」を共有することと「数字で経営する」ことを習慣とすることであると書かれていたように思います。
 また、JALにおけるリーダー教育のカリキュラムには、稲盛さんが主張される「経営の12箇条」、「7つの会計原則」、「6つの精進」を紹介し共有した記載もありました。
 では、我が社がリーダー教育を考えるに、経営者はどうしたら良いのでしょうか。
 先ず、①我が社が大切にする方針を明確にして共有すること、②もの事を語る場合の数字をはっきり明示すること、③そして、それを実現させるための、幹部間の一体感を高めるためのコミュニケーションの場を設けることから始められるのではと私は思います。
 前向きなリーダーと共に良い会社を作ることが成長するためには必要です。
所長による経営随想コラム R0612号

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